私たちは身体の具合が悪かったり、痛かったりという病的状態になった時、身体の表面に圧痛反応というものが現われます。それは押すと痛かったり、心地よい感じが「ツボ」というものです。ご紹介している「ツボ」を押すと、エネルギーが湧いてきます!また第二の心臓とも言われる「足ツボ」も健康のバロメーターです。
【肩こりとは】首から肩の周辺にかけて筋肉が緊張して硬くなり「こり、張り、痛み」などの症状が生じることをいいます。肩こりや腰痛の原因は、内臓・精神的な病気がある時にも起こりますが、最近ではコンピューターを長時間使用する仕事や、長時間下を向いたままの仕事が多くなり、筋肉の疲労や運動不足、ストレスがほとんどです。


≪以下の「ツボ」を押すと、その痛みが和らいだり、苦しみが消え治ってきます≫

頭のてっぺんにあるツボです。左右の耳孔を結んだ線と頭の正中を通る線との交点に取ります。百会の「百」は多種、多様などの意、「会」は交わるという意、百会は多くの経絡と交わるところにあり、多様な効果が期待できる重要なツボです。四神聡穴は百会穴の前後左右親指幅のところにあります。四神聡穴の「四」は四つのツボの意、「神」は精神の意、「聡」は聡明の意、つまり四神聡穴は四つのツボで精神状態を落ち着かせ、頭をスッキリさせる効果のあるツボです。
こりからくる頭痛に効果にあるツボです。首のうしろの髪の生え際で、二本の太い筋肉(僧帽筋)の外ぎわのくぼみです。天柱の「天」は頭の意です。東洋医学では自然と人体とを対応させ、頭部を天に例えます。「柱」は柱の意です。すなわち天柱は頭部を支える柱のような、といった意味です。従って天柱は頭部を支える柱に相当する僧帽筋のこりや肩こりからくる頭痛(緊張型頭痛=締めつけられるような痛みが特徴)に効果があります。親指で、または先端が丸くなった棒状のものでゆっくり押すと、とても心地よい感じがします。
指圧などで肩こり解消のツボです。肩井の「肩」は肩の意、「井」は陥凹の意、つまり肩井は、肩で、その下が井戸のように空洞になっているところにあるツボです。肩上の中央部の下は胸郭という大きな空洞です。肩井は古来、肩こりのツボとして親しまれています。日本人の愁訴の第一位は肩こり、腰痛です。いわば肩こりは国民病的な症状であり、肩井は肩こり解消のツボとして大切です。肩こりは、精神的ストレスでも起きます。従って肩こりをほぐすことは、心のこりをもほぐすことに通じます。肩井を軽くたたいたり、指圧をすると気持ちがすっとします。
頑固な肩こりに効果のツボとしてよく用いられます。肩甲骨上角には肩甲拳筋が付着しています。この筋肉は頑固な肩こりの原因になることが多いのです。この部位をやや強めに触ると、深部で肩甲拳筋に触れることができます。頑固な肩こりでは肩外兪付近をゆっくりと指圧してください。肩外兪は、肩甲骨付近にあって治療上重要なツボである。
特に肩癖といって慢性的で頑固な肩こりに効果的です。肩から肩甲間部にかけてこりが強い場合は膏肓をゆっくりと指圧しましょう。指圧する場合は息を吐く時にあわせて行って下さい。強い指圧は圧迫骨折を起こす恐れがありますので十分注意してください。つぼ療法では膏肓は頑固な肩こりに用います。
このツボは「腰痛点」ともいわれており、奇穴に当たります。奇穴とは経絡に所属しないツボで特定の症状に有効なツボです。腰腿(ようたい)穴は急性腰痛に効果的です。急性腰痛には椎間板ヘルニアなどさまざまな原因疾患がありますが主として筋筋膜性の腰痛に効果的です。このツボは野球など運動中に腰を捻(ひね)って腰痛が起こった場合の応急処置として用いてください。大抵はツボに強い圧痛反応が現れます。
拳を握ると、小指側で小指の付け根に横紋(しわ)ができますが、その先端に取ります。このツボは小腸経に属するツボです。小腸経は上肢の外側から肩、首そして顔面部へと巡ります。従って後谿もこういった所に生ずる痛みの治療に用いますが、中でも肩や首、寝違いの効果があります。
手のひらの中央で、指を握ると中指の先端が手のひらに当たるところにあります。労宮の「労」は労働の意、「宮」は皇宮や中室、中央の意、つまり労宮とは労働をする手の中央にあるツボということです。労宮は心が疲れたとき(心労)に用います。自分でやるよりは他人にやってもらえば、より効果的です。
肘を曲げると肘関節のところにしわができますが、その先端にあたるところです。曲池の「曲」は肘関節を屈曲することの意、曲池の「池」はくぼみという意、つまり曲池は肘関節を屈曲させると肘の外側にくぼみができるところのつぼと言う意味です。曲池は肘の痛みによく用いますが、効果として眼の酷使による充血にも効果的です。
疲労回復に効く足の裏にあるツボです。足指を足底側に曲げると足の裏に「人」の字が現れ、その交点に窪みができます。湧泉の「湧」は湧くという意、「泉」はまさに泉で、このツボを刺激するとエネルギーが湧くツボの一つです。 不眠に効く踵(かがと)の中央にあるツボで奇穴(きけつ)です。失眠の「失」は失うの意、「眠」は睡眠の意、つまり失眠は睡眠が失われた状態、不眠に効果的なツボの一つです。うつ病などの精神的な症状の治療にも用います。

人間のツボは360穴以上もあり、経絡は体表を縦に走り体内に入って臓腑(内臓器官)と連なります。ツボを押して気持ち良いのは、ツボの刺激で体内の諸臓器の機能をも整えることができるからです。(明治鍼灸大臨床鍼灸医学教室)より